人件費は売上の何割までに抑えるべき?

人件費は非常に大きな経費になるため、むやみに人手を増やすことはできません。もしそのようなことをしてしまうと、企業の存族に関わってくるでしょう。では、人件費は売上の何割まで抑えるのがベストなのでしょうか?

まず、人件費は売上比で見てしまうと失敗します。確かに比率は「売上に対する人件費の割合」になりますが、経営を分析するには売上比より「限界利益」とそれに対する「人的コストの総額」で見る必要があります。

限界利益とは、売上高-変動費のことで、分かりやすくいうと「粗利」です。変動費は仕入れや外注費のことで、たとえば通販業なら荷造りの運搬にかかる費用、代理店や販売の手数料、飲食業なら容器や包装代などがあげられます。この売上高から変動費を引いたものが限界利益になります。

さて本題ですが、何割まで抑えたら良いのかというと「40%以内」です。とはいえ、40%以内はギリギリのラインですから、できれば20~30%で抑えるのがベストになります。40%以上であれば非常に危険なラインになり、もし超えるようであれば「売り上げを上げる」「変動費を抑える」「労務対策を考える」など検討する必要があります。

限界利益が少ないことが原因で人件費率が悪化している場合は、売り上げと変動費を見直し、対策します。人的コストが多い場合は、労務対策が必要になります。特に限界利益の影響は強く、ここに着目して対策を練ることが重要でしょう。そのためには、「商品力」「販売力」「原価率」などを確認してみてください。

ちなみに、小売業・サービス業・飲食業で分類した場合、人件費率の平均は次のとおりになります。何割まで抑えたら良いか参考にしてみてください。

まず小売業は、調剤薬局が21.2%、家電小売業が13.9%、アパレルが20.3%。サービス業は、広告業が20.4%、経営コンサルタントが54.1%。飲食業は、中華料理店が39.7%、居酒屋が36.2%、となっています。

ただ「何割に抑えるべきか?」と考えたときに生じるデメリットがあります。それは、「社員の士気が低下」「会社の評判が低下」「一人当たりの負担が増加」「人材のリストラ・減給」などです。

人件費を削減したことで会社へ不満を抱える人が増え、結果転職してしまいます。そして従業員がマイナスになった会社は、評判低下にも繋がるでしょう。だからこそ、先にも述べたように「限界利益」を見直すことが第一になります。
(2017年現在)