人件費削減に役立つ総務省の統計データ

人件費削減の方法はさまざまです。しかし、中小企業にとって人件費の削減は非常に大きな負担になるでしょう。それでも事業を継続していくためには人件費の削減は否めません。基本給を下げる・リストラ・手当を廃止するなど、いろんな削減方法があるなかで、総務省の統計データが役に立つともいわれています。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、各企業の平均給与は大企業がもっとも高い38.4万円。中企業は32.0万円、小企業は29.0万円という統計が出ています。

これらの統計は正社員の平均給与で、中小企業は大企業に比べ8割以下であることが分かりました。設備の老朽化や事業拡大のための設備投資、人手不足を解消するためには求人広告費なども必要になるでしょう。そうなると、経費削減を考えなければいけなくなります。

もっとも大きいのは「固定費」です。固定費は人件費もそうですが、給与や交通費、ボーナス、福利厚生なども含まれます。この部分を削減できれば、中小企業は長期的に見て経営に大きな効果をもたらすことになるでしょう。

しかし、人件費を抑えるというのは決して簡単なことではありません。先ほどの統計を見ても分かりますが、中小企業は大企業より平均給与が低い結果になっています。

そうなると、人件費を下げてしまうと従業員のモチベーションは下がり転職者が増えることになります。転職者が増え人手不足になると、結局新しい従業員を増やすための費用がかかってしまいます。

ですから、人件費を削減するには、それぞれの業種の統計データを参考にしながら、同業種と比較することが大きなポイントになります。そのうえで従業員を配慮しながら経費削減を行いましょう。

たとえば小売業であれば、売上高人件費率が調剤薬局21.2%、酒屋9.0%、家電小売業13.9%となっています。サービス業なら、エステなどの美容業は49.8%、美容室・理容室54.3%、訪問介護・ヘルパー65.5%。飲食業は料亭37.3%、食堂・レストラン33.3%、そば・うどん38.5%です。

コストを抑えるためには、とにかく「ムダ」「無理」「ムラ」を省くことが大切です。そのためには、自分の会社ばかり見ていても意味がありません。

ムダな残業代は出ていませんか?ムリな制度設計になっていませんか?基本給にムラはありませんか?この3つを削減することで従業員の理解も得られやすく、倒産の危機も防げるでしょう。
(2017年現在)